コラム
なぜグラウンドゴルフには審判がいない?公式の「3つの理念」から読み解く

みなさん、こんにちは。ぐらごる王子です。
グラウンドゴルフの大会や練習会に参加していて、「あれ、審判がいない」と気づいたことはありませんか?多くのスポーツには審判がいるのが当たり前ですが、グラウンドゴルフでは原則として審判を置きません。
これは単に「のんびりしたスポーツだから」ではなく、公益社団法人日本グラウンド・ゴルフ協会が掲げる「3つの理念」に基づいた、はっきりとした考え方があります。この記事では、その理念から「なぜ審判がいないのか」を読み解いていきます。なお「グラウンドゴルフ」は「グランドゴルフ」と表記されることもありますが、この記事では協会の正式名称に合わせて表記します。
目次
グラウンドゴルフに審判がいないのはなぜ?
結論から言うと、グラウンドゴルフでは「プレーヤーの自律性が重視され、自分自身を審判する公平性や公正さが強く求められて」いるためです。日本グラウンド・ゴルフ協会は、プレーヤー自身が「プレーヤーであり審判員」であるという考え方を理念として示しています。
実際に公式ルール第15条「ゲーム中の判定」には、次のように定められています。
「ゲーム中の判定はプレーヤー自身が行う。ただし、判定が困難な場合は同伴プレーヤーの同意を求める。」
つまり、基本は自己申告で、迷った場合は一緒にプレーしている人たちで判断する仕組みです。誤解しないでいただきたいのは、これは「大会に運営スタッフや競技役員が一切いない」という意味ではないということです。あくまで、プレーの一打一打を裁く「審判」という役割を置かず、プレーヤー自身の判断に委ねているというのがポイントです。
グラウンドゴルフが大切にする「3つの理念」
日本グラウンド・ゴルフ協会は、以下の3つを理念として掲げています。
| 理念 | 基本的な考え方 | プレーで大切にしたいこと |
|---|---|---|
| 人間を重視するスポーツ | スポーツに人を合わせるのではなく、プレーする人にスポーツを合わせる | 年齢・性別・障害の有無に関わらず、誰もが楽しめること |
| 結果を含めた過程を重視するスポーツ | 勝つことだけでなく、そこに至る過程や交流を大切にする | 同伴者との触れ合い、プレーの過程そのものを楽しむこと |
| 自律的な行動を重視するスポーツ | プレーヤー自身が自分を審判する公平性・公正さを持つ | 自分に不利な場面でも正しく申告すること |
理念1「人間を重視するスポーツ」
グラウンドゴルフは「スポーツに人を合わせるのではなく、プレーする人にスポーツを合わせる」という考え方から生まれています。ルールは16条とシンプルにまとめられており、年齢・性別・障害の有無に関わらず、誰もが同じルール・同じコースで楽しめるように設計されています。
技術の高さや複雑な制度を競うことよりも、幅広い人が無理なく参加できることを重視している点が、このスポーツの土台になっています。
理念2「結果を含めた過程を重視するスポーツ」
「結果を含めた過程を重視する」という理念は、勝つことや良いスコアを出す楽しさを否定するものではありません。そのうえで、勝敗という結果だけでなく、そこに至るまでのプレーヤー同士の交流や触れ合いも同じくらい大切にされています。
グラウンドゴルフには、ホールインワンを決めるとマイナス3打になるという独自のルールがあります。この仕組みによって、経験の浅い人にも上位に入る可能性が生まれ、「誰が勝つか分からない」という結果の未確定性が、参加する楽しさにつながっています。
理念3「自律的な行動を重視するスポーツ」
3つの理念の中でも、審判がいない理由に最も直結するのがこの「自律的な行動を重視するスポーツ」という考え方です。
グラウンドゴルフでは、プレーヤー自身がルールを守り、自分に不利な場面でも正しく申告することが求められます。審判がいないというのは、ルールを自由に解釈してよいという意味ではありません。むしろ、一人ひとりが誠実にプレーすることによって、はじめて競技として成り立つ仕組みです。
「自律」と「自分勝手なルール解釈」はまったく別のものです。フェアプレーとグッドマナーがあってこそ、審判を置かないという形が機能しています。
3つの理念は普段のプレーにどう表れる?
3つの理念は、抽象的な考え方だけでなく、実際のルールや日々のプレーの中にも表れています。
- 自分のプレーが終わったら、すみやかに次のプレーヤーの妨げにならない場所へ移動する(第1条)
- 同伴のプレーヤーが打つときには、話したり、ボールやホールポストの近くに立ったりしない(第2条)
- 自分の作った穴や足跡を直してから次に進む(第3条)
- 自分の打数を正しく申告する(第15条)
- スコアや勝敗だけでなく、同伴者との会話や触れ合いも大切にする
こうした一つひとつの行動が、「人間を重視する」「過程を重視する」「自律的な行動を重視する」という3つの理念を、日々のプレーの中で実現しています。より詳しいルールについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
審判がいないからこそ、一人ひとりの行動が大切
審判がいないことは、グラウンドゴルフの弱点ではありません。むしろ、プレーヤー一人ひとりを信頼して成り立っているスポーツだからこそ、審判を必要としない形が選ばれているのだと思います。
初めて大会に参加する方にとっては、「誰も判定してくれない」と不安に感じるかもしれませんが、それは裏を返せば、参加するすべての人が公平にプレーすることを前提にした、フェアな仕組みだということです。この考え方を、これから始める人や次の世代にも伝えていくことが、グラウンドゴルフを長く続けていくうえで大切なことだと感じています。
まとめ
グラウンドゴルフに審判がいないのは、「人間を重視するスポーツ」「結果を含めた過程を重視するスポーツ」「自律的な行動を重視するスポーツ」という3つの理念に基づいています。特に「自律的な行動を重視するスポーツ」という考え方が、プレーヤー自身が自分を審判するという仕組みに直結しています。
審判がいないからこそ、一人ひとりのフェアプレーとグッドマナーが競技を支えています。次にプレーするときは、こうした理念を少し意識してみると、グラウンドゴルフの見え方が少し変わるかもしれません。

この記事の筆者・監修
ぐらごる王子
世界一位のグラウンド・ゴルフプレイヤー
グラウンドゴルフ国際大会優勝。世界一のプレー経験をもとに、ぐらごるマガジンの記事を執筆・監修しています。YouTube「ぐらごるTV」でも情報発信中。


